
皮膚のかぶれ・かゆみ・
赤みの症状について
皮膚科でよく見られる疾患のひとつに、かぶれ(接触皮膚炎)があります。これは、化学物質やアレルギー物質が皮膚に接触することで、かゆみや痛みを伴う赤み・腫れ・ぶつぶつ・水ぶくれなどの症状が現れるものです。原因としては、刺激性物質やアレルギー性物質などが挙げられます。原因となる物質を特定し、接触を避けることが最も重要です。
また、虫刺されもかゆみや痛みを伴う皮膚トラブルの一つで、ステロイド外用薬による治療が効果的です。とくに蜂に刺された場合は、まれにアナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応を起こすことがあり、全身のじんましん、めまい、呼吸困難などが現れた際は、速やかに救急車を呼んでください。
かぶれや虫刺されによる湿疹が2~3日経っても改善しない場合は、自己判断で放置せず、早めに当院へご相談ください。
接触皮膚炎とは

接触皮膚炎(接触性皮膚炎)とは、皮膚に何らかの物質が触れたことが原因で、炎症を起こした状態です。アレルギーを含む何らかの刺激が加わることにより、基本的には原因物質が触れた部分に炎症が発生します。
一般的には「かぶれ」と呼ばれており、主な症状は湿疹や赤み、かゆみ、水ぶくれ、腫れなどです。
接触皮膚炎の原因・アレルギーとの関係
接触皮膚炎は大きく二種類に分けられます。
ひとつは刺激性接触皮膚炎で、洗剤や漂白剤などの化学物質、パーマ液やヘアカラー剤などの美容製品、おむつかぶれのような長時間の摩擦や湿潤状態が原因となります。これらは皮膚の防御機能を直接損傷させるため、誰にでも起こり得ます。
もうひとつはアレルギー性接触皮膚炎で、ニッケルなどの金属、漆、化粧品に含まれる防腐剤や香料、特定の草花(ウルシやスギなど)が原因となります。これは免疫系が関与し、一度感作されると微量の接触でも強い炎症反応を示します。症状は接触部位の発赤、かゆみ、水疱形成などで、原因物質の特定と回避が治療の基本となります。
湿疹の種類と特徴
手湿疹(主婦湿疹)
手湿疹とは、手にできる湿疹や炎症の総称です。アレルギーを含む何らかの刺激が加わったことが原因で発症します。手湿疹は、いわゆる「手荒れ」が悪化した状態と考えると良いでしょう。かゆみや痛みだけでなく、見た目の悪さに悩まされる方も多いです。
化学物質を含む洗剤や水を日常的に使用する人ほど罹患しやすく、炊事・洗濯の機会が多い主婦に多い疾患のため「主婦湿疹」とも呼ばれます。美容師や調理師といった職業の方が、罹患しやすいことも特徴です。また、乾燥肌やアレルギー体質、アトピー性皮膚炎の患者など、肌のバリア機能が弱っている方も発症しやすいとされています。
貨幣状湿疹
貨幣状湿疹とは、比較的大きな円形の湿疹がたくさんできる病気です。コインのような湿疹の形状にちなんで病名が付けられており、境界線のはっきりした直径1~5cmほどの湿疹が現れます。
直接的な原因は現時点で不明ですが、乾燥肌や虫刺され、かぶれなどをきっかけに発症したり、それらをかき壊したことが原因で発症したりするケースが多いとされています。特に腕や脚、お腹周り、お尻などにできやすく、冬場に発症しやすいことが特徴です。
虫刺されの症状と対処法

虫刺され(虫刺症)とは、その名のとおり、何らかの虫に刺されたことが原因で発生する皮膚炎です。原因となる主な虫は、蚊・ブヨ・ダニ・ノミ・毒を持つハチ・毛虫・ムカデ・クモなどです。これらの虫に刺されることで、虫の毒液や唾液成分といった異物が皮膚の内側に侵入し、炎症を引き起こします。
これらの虫に刺された場合は、患部をこすらないように注意しながら冷水で洗い、よく冷やしましょう。特に毛虫に刺された場合は、毒を持つ毛が患部周辺に広がる恐れがあるため、粘着テープなどで丁寧に毒毛を取り除くことが大切です。
数日経っても症状が変わらない場合は、病院に相談することをおすすめします。
治療方法について
外用薬
炎症を抑え、赤みやかゆみを軽減する働きを持つ、ステロイド外用薬による治療が有効です。ステロイド外用薬には、様々な強さ(ランク)があります。症状の程度に合わせて適切な強さを選ぶ必要があるため、十分な知識と実績を持つ医師の診療を受けましょう。
内服薬
医療機関の受診が必要なほど、広範囲に湿疹が広がっている場合や、患部以外にも何らかの症状が出ている場合は、内服薬を使用して治療する場合があります。炎症性皮膚疾患の内服薬治療では、ステロイド成分を配合した、内服薬を使用することが一般的です。ただし、副作用などを考慮し、症状に応じてかゆみの原因物質である、ヒスタミンを抑える抗ヒスタミン剤を使用する場合もあります。また、外用薬と内服薬を併用するケースも少なくありません。
スキンケア
炎症を鎮める必要があるため、低刺激の洗顔で優しく洗って冷やし、しっかりと保湿してケアしましょう。掻きむしると悪化する恐れがあるため、患部にはできるだけ触れないことが大切です。
予防と注意点

原因物質に触れることで発症を招くため、湿疹の原因となる物質を避けることが、一番のポイントです。仕事の都合などにより、どうしても原因物質に触れる必要がある場合は、原因物質に直接触れないように、手袋や衣類を使って肌を守りましょう。
我慢できないほどのかゆみに襲われる可能性もありますが、患部をかきむしるとさらに症状が悪化し、周囲の部位にもかゆみが広がる可能性があります。引っかき傷から細菌が侵入して化膿するリスクもあるため、患部に触らないよう心がけることも大切です。
