
水虫の症状と感染経路
水虫の代表的な症状は、足の裏やかかと、足の指などに発赤・水ぶくれ・びらん・角質のはがれなどです。
強烈なかゆみをイメージする方が多いかもしれませんが、かゆみの有無には個人差があり、かゆみを少しも感じない場合もあります。その場合は自覚症状がなく、無意識のうちに家族などに水虫を広める恐れがあるため、注意しなければなりません。
主な感染経路となるのは、白癬菌への接触です。皮膚や爪が直接触れた場合だけでなく、タオルなどの物を介して、間接的に触れて感染する例もあります。はだしで歩くことの多いプールや、銭湯で水虫に感染する人が多く、感染者とタオルやバスマット、スリッパなどを共有した結果、感染・発症するケースも珍しくありません。
白癬菌の種類と特徴
足白癬
足白癬とは、皮膚糸状菌と呼ばれる真菌が引き起こす、皮膚表面を中心とした感染症です。皮膚糸状菌が引き起こす病気は、白癬・黄癬・渦状癬の3つですが、日本国内で見られるのは大半が白癬です。そのため、現代の日本では、多くのケースで皮膚糸状菌=白癬として扱われています。
爪白癬
爪白癬とは、爪の変色や変形といった症状を伴う感染症です。治療せずに放置すると、他の爪や皮膚へと感染が広がります。感染初期は、爪の見た目が変わる程度の症状に留まりますが、悪化すると爪が厚くなったり、変形により痛みを感じたりします。最悪の場合は、痛みが原因で歩行困難になるケースや、転倒しやすくなるケースもあり、日常生活に支障を来す恐れもあるため注意が必要です。自分で爪を切るのが難しくなる可能性もあるため、できるだけ早く皮膚科を受診して治療しましょう。
治療方法について
外用薬
外用薬としては、真菌の細胞膜を構成する「エルゴステロール」の合成を阻害するルコナック、エフィコナゾール(クレナフィン)、ルリコナゾール(ルリコン)のうちいずれかの薬品を使用することが一般的です。ただし、外用薬は爪の深部まで浸透しにくいため、基本的には内服薬の補助薬として外用薬を利用します。
内服薬
白癬菌を殺菌したり、白癬菌の増殖を抑えたりする抗真菌薬を使用して、治療にあたります。外用薬を用いる場合もありますが、爪の深部まで浸透しにくいため、内服薬を中心とした治療を行うことが基本です。
服用期間の目安は3ヶ月~6ヶ月程度ですが、爪の生え変わりを考慮すると、治療期間が1年~1年半程度に長引く場合があります。
予防とセルフケア

足・爪水虫を防ぐポイントは、家庭内の感染対策を徹底することです。調査によると、水虫患者のうち、約35%の同居家族に真菌症の人が含まれると言います。そのため、家族内でバスマットやスリッパを共有することは避けて、こまめに洗濯をしながら感染対策を行いましょう。家族に感染者がいる場合は、一緒に治療を進めることにより、感染拡大を防ぎやすくなります。
また、温泉やサウナ、プール、事務、病院、学校など、不特定多数の人が利用する場所に置いてあるスリッパや体重計も、できる限り使わないようにしましょう。利用した場合は、すぐに足を洗って、清潔な状態を保つことが大切です。
足を洗う際は、足の指の間や爪の周りも丁寧に洗いましょう。ポイントは、硬いブラシや軽石などを使わないことです。力を入れてゴシゴシ洗うと、肌が傷付き、細菌が侵入しやすくなります。正しい洗い方を守り、清潔な状態を保つことが、水虫の予防において効果的なのです。
