皮膚の
ターンオーバー異常に
よって起こる疾患について
皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に白いかさぶたが厚く付着し、それがフケのようにぼろぼろと剥がれ落ちます。
これは、表皮のターンオーバーが短くなることで起こる症状です。また、炎症を伴うため、強いかゆみが生じることがあります。
人に感染する疾患ではありませんが、難治性であり、繰り返しおこる病気です。
表皮異常、免疫系異常による疾患で、ストレス、気候の変化、高脂肪摂取等の生活環境による要因もあります。
治療方法について
塗り薬
皮疹に対して直接塗布するタイプの薬です。免疫の働きを抑えて炎症を防ぐ「ステロイド外用薬」や、皮膚の細胞に働きかけて異常な増殖を抑える「ビタミンD3外用薬」を用いることが一般的です。
エキシマレーザー
エキシマレーザーとは、皮疹に紫外線を照射する治療法です。紫外線には、免疫の過剰な働きを抑制する作用があるため、これを治療に活用します。皮疹の範囲に合わせて、部分的もしくは全身に紫外線を照射して、症状の改善を促します。用いられるのは、主に塗り薬が効果を発揮しない場合などです。
内服薬
錠剤やカプセルなどを用いた内服薬による治療を行う場合もあります。使用する内服薬は、主に「オテズラ」と「ソーティクツ」の2種類です。
オテズラはPDE4（ホスホジエステラーゼ4）という酵素の働きを抑える薬で、免疫バランスを調整することにより炎症を抑えます。ソーティクツは、TYK2（チロシンキナーゼ2）というタンパク質の働きを阻害して、乾癬の症状改善を目指す薬です。
バイオ製剤：高額保険治療
バイオ製剤（生物学的製剤）は、先述した薬剤や光を利用した治療で改善が見られない場合に使用します。免疫細胞の情報伝達に用いられる、サイトカインの働きを弱めることにより炎症を抑え、皮膚の新陳代謝を促すことが特徴です。
治療の流れ
診察
患者さまの症状やご希望を確認し、最適と考えられる治療法を選択します。考慮する項目は、症状の程度や皮膚症状がQOLに与える影響の大小、患者さまの年齢や通院条件、治療法ごとの効果と安全性など様々です。
治療
乾癬の治療法は、「外用療法」「内服療法」「生物学的製剤」の3つです。
症状によっては、複数の治療法を組み合わせることもあります。基本的には塗り薬を用いる外用療法が選ばれますが、症状が重い場合は内服療法も選択肢に加わります。これらの治療法を試しても効果が得られない場合に用いるのが、生物学的製剤です。治療法の選択にあたっては、重症度だけでなく、患者さまのご希望やQOLの程度なども考慮します。
アフターケア
乾癬は慢性の病気であり、一度の治療で完治させることは困難です。再発防止のためには、症状が落ち着いてからも定期的に通院・治療を続けることが大切であり、アフターケアが欠かせません。
生活習慣の注意点
近年、乾癬が増加傾向にある原因として考えられているのが、食生活の欧米化です。肥満やメタボリックシンドロームが乾癬を引き起こしている可能性があります。
極端な食事制限は不要ですが、バランスの良い食事を心がけましょう。カロリーの高い肉類や脂肪を極力避け、野菜を増やすといった対策が効果的です。
また、刺激物やアルコールは痒みが増す原因となり、乾癬を悪化させる恐れがあるため、可能な限り避けましょう。
